地域社会

「携帯電話」から「ケータイ」へ
1999年から2000年にかけて、iモード,EZweb,J-スカイなど、モバイルインターネットサービスがが急速に進化し、利用者数が激増しました。今年8月の段階でiモードは加入者1000万人を突破し、EZwebの300万人,J−スカイの200万人などを合わせると、1730万人もの利用者数となっています(郵政省調べ)。携帯電話=インターネット端末という利用が広がり、今や携帯電話は「話す携帯」から「使う携帯」へと変わり、「ケータイ」という新しい必需品になって来ています。さまざまな情報をいつでもどこでもやり取りすることが出来る「携帯端末」としての利用がますます広がって行きそうです。
 例えば、インターネットからダウンロードした音楽をウォークマンのように楽しむ機能や画像の送受信機能をもったケータイはすでに登場してきています。また、カーナビのようなナビゲーションシステムが組み込まれ、今いる場所が画面の地図上に表示されるといった、方向音痴の人にはありがたいケータイも登場するでしょう。今いる場所はわかるということは、インターネットから地図情報を利用することにより、今自分のいる場所の近辺でどんなお店があるか、どんな商品がどんな値段でおいてあるか、混み具合はどうか、といったことまでがたちどころもわかるようになるでしょう。食事をする場所を探したり、予約したりすることも簡単にできるでしょう。

 インターネットが私たちの毎日の生活に浸透してくればくるほど、いつでもどこでもインターネットに接続することができる環境が必要となります。それを私たちに提供してくれるのがケータイだということになるでしょう。来年度からサービス開始が予定されている「次世代携帯電話」では、現在のデータ送受信能力をはるかにしのぐ大容量のデータ送受信が可能となり、音楽データはもちろん、動画なども短時間で送受信することができるようになります。つまり、文字や音声だけでなく、映像までもが世界中のどこででもやりとりができるようになるわけです。気がつくと、IT革命の主役はケータイということになっているかも知れません。


コンビニが地域の流通拠点に
 ある大手コンビニでは、2000年秋から各店舗に最新鋭のマルチメディア端末の導入を開始します。音楽のダウンロード(音楽のデータを取り入れることができ、その音楽を聴ける)や、チケットの販売、デジタルプリントサービスなど新たなサービスが展開される予定です。
 今年の11月には、インターネット上で、書籍が注文できるサービス「イー・ショッピング・ブックス」が始まっています。インターネットで注文した書籍は24時間いつでも好きなときに、近くのコンビニで商品の受け取りと、代金の支払いができます。宅配便を利用する場合には送料がかかりますが、コンビニで受け取る場合には無料となります。これによって、忙しくて買いに行く暇がない人でも簡単に本を手に入れることができます。

 このように、年中無休で24時間利用可能なコンビニが、IT関連のサービスを次々にスタートさせ、様々な商品やサービスの身近な流通拠点となろうとしています。ここにも、私たちの生活が情報通信技術によってより便利なものへと変わろうとしている一面を見ることができます。

IT支援でバリアフリー
 IT=情報技術によって障害をもった方々をさまざまな形で支援することができるようになってきました。

 その例として、沖縄のある養護学校の場合をあげてみます。この学校の生徒は重い障害を抱えている為、外に一人で外出することが困難だったり、言葉が不自由だったりします。首から下が動かない生徒はベットにいる状態のまま、口にくわえた棒で顔の前のノートパソコンを自由に使用できるようになりました。手が思うように動かない生徒は、かすかな動きでも操作できるポイントパットという入力機器を使って、障害のない人とほぼ同じことができます。
 このようなことによって、メール交換をして友達を作ったり、就職への道が開かれたりと、今までできなかった外部の人達との交流ができるようになりました。他にもインターネットでCD製作会社の人と知り合い、オリジナルCDまで作った人もいます。

 大阪府では、府内のすべての聾(ろう)・盲・養護学校などを最先端コンピューターネットワークによって結ぶ、全国で初めての試みが行われています。各校に配備されるコンピューターには音声認識ソフトなどの障害者用ソフトが取り込まれています。このため、視覚障害者が点字に頼らずに健常者とメールをしたり、点訳を待たずにインターネットから最新情報を得たりすることができます。文部省の担当課長は「このネットワークは、障害者が人に頼らないで働きたいという夢を実現する第一歩になるのではないか。IT技術の活用は健常者よりも障害者に重要であり、今回の試みは大変有意義でモデル的な試みである。」と話しています。

 この沖縄や大阪の例のような身体障害者のIT利用が進むことによって、障害者に役立つ新しいソフトや教材の開発が促されていく予定です。また、郵政省は資金援助を通じ、国内の事業育成をはかり、身障者の『情報バリアフリー』化につなげたい考えを示しています。
 しかし、障害のある人が技術を身につけることや補助具を作成してもらう機会が十分でないために、なかなかハンディキャップをうめることができないという問題点もあります。